毒親問題に悩んだ時、本を次から次へと読んで得たこと、読書に想うこと

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親との関係に疑問を持った時、私はとりあえず関連しそうな本を読み漁りました。当初は自分の親が本当に毒親だったのか確信が持てなかったので、「もしそうではなかった時、親のことを疑った証拠が残ってしまうのが怖い」と感じており、本棚に残らないように全部Kindleで買って読みました。

恐る恐る、といった気持ちで読み始めた「毒親本」でしたが、読めば読むほど自分の状況を照らしてくれるものばかりでした。次から次へと本を読み、2年ほどかけて40冊以上は読んだと思います。

本が心の支えになるかどうかは、人それぞれだと思います。活字を追うのが辛い、鬱状態で本が読めないこともあると思いますし、(私もそういう時期がありました。その時期は音楽しか聞けませんでした)目より耳の方が情報が入ってきやすい、という人もいると思うので、一概には言えませんが、ここでは個人的に私が本から何を得たか、を書きたいと思います。

実際に読んだ本についてはこちら:

自分が「おかしい」わけではないと知る

これが一番大事だった気がします。自分だけがおかしい、自分が我慢が足りない、こんな人間は世界に私だけだ、私は救いようがないかもしれない、と思っていたことが、「こういうこと、ありませんか?」と毒親本には書いてあります。しかも、次から次へと。

同時に、親の言動も、「当てはまる、これ、その通りだ…」と思うことも、次から次へと鮮明に描写されます。そして、それらの行動が子供を傷つけるものであったこと、子供のあなたが傷ついて当然であったこと、も説明されます。

読んでいる時は「それでも私が悪い気がする」「本当に親はおかしかったのかな」と思う気持ちも大きかったのですが、じわじわとこの「私がおかしいわけではなかった」という知識が、心に染み渡っていきました。

自分が「一人」ではないと知る

毒になる親」のように心理のプロが書いた本を読むと、自分と似た問題を抱えている人は世界にたくさんいると知ることができます。「母がしんどい」のようなコミックエッセイを読めば、親との関係で辛い思いをして頑張って生き延びてきたのは自分一人ではないことを知ることができます。

毒親育ちだと、問題を理解されないことや、そもそも親に助けを求めても跳ね除けらた経験から、一人で辛い気持ちを抱えるしかなかったことも多かったかと思います。私もそうで、「自分はひとりぼっちでなんとかしないといけない」と感じていました。でも本を読むと、一人ではないと思えます。

本ではないですが、私にとってはネット掲示板もこの役割を果たしてくれました。ある程度自分の回復が進んでからは、Yahoo知恵袋での親についての投稿も「苦しんでもがいているのは私だけではない」と思えてなんだか気持ちが和らぎましたし(無理解な回答にうっとすることも時期によってはある)、英語が読める人にはRedditの「r/cptsd」「r/entitledparents」もおすすめしたいです。

回復に向けた希望があると知る

親との関係にはさまざまな解決法があります。絶縁や、距離感を調整する、会う頻度を変える、など、どんな方法をとるにせよ、一人で苦しみ続けるだけが解ではない、と本を読むと知ることができます。

特に子供時代のことがトラウマとなり、複雑性PTSDになっている場合は、トラウマは治療できる、と本を読むと知ることができます。治療法も複数あるし、回復してやっていけている人の話もたくさん出てきます。私にとっては、自分の人生が自分のものだと思えない、自信が持てない、など、自分の抱えていた症状が本で解説されていることが心の支えになりました。同じ症状を持つのは私だけではない、そしてそれを治療できた人がいると分かったからです。

個人的には、この点においてはプロのカウンセラーの書いた本が一番効いた気がします。コミックエッセイだと「辛かったけど逃げて幸せになりました」というエンディングのものも多い気がするのですが、逃げる先がない時や頼れる友人もパートナーもいない時、本がハッピーエンディングであればあるほど自分がみじめで希望がない気持ちになってしまう感覚がありました(本が悪いわけではなく、私が受け止める余裕がなくて)。その点プロの書いた本、特にトラウマ関連の本は、自分でもできることや治療への道筋を書いてくれていたので、希望を感じることができました。

謎がとけて、すっきりする

なぜ親があんな行動をしたのか。自分の家庭はどうおかしかったのか。大人になった自分の扱いづらい部分や日常生活で困っている部分は、どこから来ているのか。本には答えが書いてあります。答えがそのままなくても、ヒントが見えてきます。特に毒親育ちの場合、子供の自分の症状は、おそらく、多くの場合、そのまま本に書いてあることばかりだと思います。

病気でも病名がつくと対処法が分かるのと同じで、何が起こっていたのか分かると対処ができるようになりますし、何よりも、「このもやもやした気持ちはなんなの?」「なんでこんなことを言うの?」と一人でぐるぐる悩んでいたことに答えが出るのは、爽快ですらあります。

私は「しんどい」の「親の現実に無理やり引きずり込まれている」「親の代理をやらされている」という描写がすごくしっくりきました。本当にすっきりするまでには時間もかかりますし、何度も同じ本を読むこともあるのですが、それでも糸口が掴めます。

ちなみに:本を読むことで気持ちを回避している時

これはTiktokか何かで知ったのですが、「本などで知識をつけて気持ちを無理やり処理することで、辛い気持ちを感じないようにする」のを「Intellectualization(知性化)」と呼ぶそうです。これは人間の防衛機能の一つで、辛い気持ちがあまりに大きく、直面することに耐えきれない時に働くメカニズムの一つだそうです。

これを知った時、ああ、私が本を読み漁っていたのも、これかもしれない、とぴんと来る部分が正直ありました。全部がそうではないにせよ、本を読むことで自分の過去が理解できた感じがして、それで「こういう説明がついたからもう分かった。もう終わり」と処理しようとしている、という感覚です。

私は同時並行でカウンセリングにも通っていたので、カウンセリングの場でかなり辛い気持ちを解放できている自覚はあったのですが、その他の時間に夢中になって本を読んでいたのは、本や知性に頼って自分の心を守っていたのかもしれないな、と思いました。別に悪いことではありません。自分を守ろうとする防衛機能がきちんと働いている証拠でもあると思います。

ただ、どうしても、過去をフルにプロセスするには気持ちと向き合わないといけない部分はあると思います。一人で気持ちと向き合うのが辛い時は、ある程度本で理解を深めてからでも、プロに頼るのもいいかなと思います。本で理解を深めてからの方が、気持ちを処理する際に起こりうることが想定できていて、激しい気持ちに溺れそうになっても「回復の途中でよくあること」と思えるので、楽だったりもすると思います。

まとめ

以上が、私が個人的に今感じている、本を読んで良かったことです。なんだかありきたりなことを並べたようにも思えて申し訳ないのですが、少しでも参考になったら嬉しいです。

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