こんにちは、えむです。
私は3歳の頃からアトピーに悩まされていました。子供の頃は手や肘、膝に湿疹が出ることが多かったのですが、ストレスがたたったのか、20代後半になって顔や首、耳、足の甲など、ほぼ全身にアトピーがひどく出るようになってしまいました。
特に困ったのが顔で、メイクで隠し切ることもできず、何を使っても痒みが治らず、本当にどうしようもなくて辛かったです…アトピーの方なら少なからず似たような経験をされた方は多いのではないかと思います。
どうしようもなくて困っていた時に、皮膚科の先生に紹介されたのが、デュピクセントでした。
デュピクセントは、サノフィというアメリカの製薬会社が発明した、画期的な注射薬です。アトピー性皮膚炎だけでなく、喘息や慢性副鼻腔炎にも効くこの薬には、体内の「IL-4」「IL-13」という物質の働きを抑えることで、皮膚の炎症反応を抑える効果があります。
薬についての詳しい説明は、おそらくサノフィのホームページや皮膚科の先生に聞いていただくのが一番かと思いますが、多分この記事を読んでくださっている方は、そこまでした上で、実際に試した人の経験談を知りたい!と思っていらっしゃるのではないかと思います。私も、打つ前に色々と調べて、長い時間悩みました。
この記事では私がデュピクセントを使うことになった経緯や、使ってみての効果、副作用についてなど、個人的な感想を書いていきたいと思います。
デュピクセントを使うことになった経緯
冒頭でも少し書いたのですが、私のアトピーは20代後半になってひどくなり、2022年にニューヨークに引っ越してからは、水が合わなかったのか空気の乾燥が良くなかったのか、もうどうしようもないくらい全身に広がっていました。とにかく痒い。背中も痒いし、手も痒いし、顔も痒いし、夜眠れないくらいの酷さでした。
せっかく買った服も、血がついてしまうので、気軽に何度も洗濯できない素材のものは着れませんでした。
ステロイドの塗り薬を塗っても、塗っている間は良くなるのですが、根本的な治療ではないので永遠に続くハムスターの回し車に乗っているようで、なかなか辛かったです。
すがるように行った皮膚科でデュピクセントを勧められ、悩んだ末に初回の注射をしてみることにしたのが始まりでした。
デュピクセントを使う前に検討したこと
そこまでアトピーに苦しめられていたのですが、実は皮膚科の先生に「考えてみてね」と言われてから、二週間くらい使うか躊躇して、どうしようか悩みました。とても幼い頃からアトピー持ちだったので、そんな高額な注射を使い始めるほど酷いのか自分でもよく分からなかったのと、副作用が出たらどうしよう…と思うと怖かったからです。
アトピーだと、ステロイドなどの塗り薬を頑張って塗りましょう、と指導されることが多いかと思います。デュピクセントも塗り薬と併用することが基本なのですが、それでも、私は、もっと頑張ってこまめに塗り薬を塗ったらよくなるんじゃないか、注射をする必要があるのかな、と躊躇していました。
また副作用に関しても色々と調べましたが、デュピクセントでよくある副作用として挙げられるのが結膜炎です。ただ結膜炎自体はよくある病気で、眼科に行ってお薬をもらえれば治るので、「デュピクセントを打って結膜炎になったけど薬をもらって治ったから大した問題ではなかった」という体験談もネットで読みました。副作用は本当に難しい問題で、打ってみないと分からないんですよね…ネットの掲示板を読むと、デュピクセントを打ったら逆にアトピーがひどくなったと言う人もいたり、全然効かなかったと言う人もいたりして、結局は打たないと分からないんだな…と思いました。
最終的にこの薬を使うことに踏み切った理由は、試した場合にどうなったかを一生知らないでこのままでいるより、試してみてどうなるかを、例え副作用が出たとしても知りたい、と思ったからです。もしも自分がデュピクセントが効く体質だったとしたら、それを知らずにいるのは悲しいし、効いたらすごく嬉しいからリスクを取ろう、と判断しました。
効果は出たの?
デュピクセントが効くとして、その効果が出始めるまでには個人差があります。その日の夜から感じる人もいれば、四週間かかる人も、もっとかかる人も。
私の場合は、打ったその日の夜から効果を感じ始めて、「あれ?これは、もしかして、効いているのかもしれない…!」とその時に思いました。寝るときに、いつもほど痒くなかったのです。いつもは体を掻きむしって寝れないのですが、我慢できるくらいの痒みになっていると感じました。
そこからは、時間をかけて、じわじわと効果が出始めました。二週間くらい経ったところで、なんだか肌の感じが違うかも、と思うようになりました。その時点では、元々あった湿疹はそのままだったのですが、激しい掻き方をしなくなったせいか、血が出るほどひどかった箇所が段々収まってきている感じがしました。また、かゆみを全く感じなくなりました。
これも個人差があると思いますが、私の場合は継続的に打ち初めて1ヶ月ほどで、肌質がそもそも変わったかのように全身が綺麗になりました。
どんな効果が出たか
デュピクセントの効き方には本当に個人差があるみたいなので、私の場合、ということになるのですが、まず、痒くなくなりました。本当に、アトピーだったことを忘れるくらい、痒くないです。
そして痒くないと肌を掻かないので、自然と肌の傷が治っていきます。
また、これは打って2ヶ月くらいした時に、川のほとりに座っていて気づいたのですが、肌質がそもそも変わりました。それまで、私の肌はなんとなくいつも乾燥していて、カサカサとした質感だったように思うのですが、その日、日光をたっぷり浴びた私の肌は、川の水面のようにキラキラ細かく光っていました。
そんなこと初めてでした。
おそらく、薬の影響で肌のバリアがきちんと作られるようになり、水分を保つことができるようになったのだと思います。人間の健康な肌ってこういう風に輝くんだ…と思い、衝撃を受けました。
4ヶ月経った今は、乾燥すると目の上など皮膚が薄い部分が少し痒くなるくらいで、手にも膝にも肘も全く湿疹が出ていません。アトピーだったことが嘘のように思えるくらい。
ただやはり病気そのものが完治しているわけではないので、乾燥した場所で長時間過ごしたり、汗をかいたりすると少し痒くなることはあります。あと、香料のガッツリ入ったハンドソープを何度も使うと手が荒れてしまいます。なのでやはり他の人に比べたら少しは気を使う必要があるのですが、でも基本的には日常生活でアトピーのことを考える時間が激減しました。
副作用は出た?
結論から言うと、打ち始めて4ヶ月の私の場合は、今のところ副作用は出ていません。
ただ一度、副作用かな?と思ったことはありました。実は一度、アメリカの保険会社とのトラブルで次の薬が注文できず、継続して注射ができなかったことがあったのですが、その時、つまり、おそらくデュピクセントの効き目が切れ始めた時は、目のふちが痒くて仕方なくなりました。
それまで痒くなったことがない場所だったので、アトピーで痒いのか何らかの副作用なのか分からず、眼科に行ったのですが、お医者さんによると、結膜炎ではなく単なる皮膚のかゆみで、おそらくアトピーによるもの、と言われたので、デュピクセントの効き目が効き目がきれた事によるアトピーの再来だったのだと思います。その痒みはステロイドを塗ることで収まりました。
東京で継続的に打てるようになった今は、全く目に違和感を感じることはなく、またその他の副作用を感じることも私の場合はなかったです。
ただ本当に副作用には個人差があるので、やっぱり打ってみないと分からない部分もあるように思います。また今後私も副作用が出る可能性はあるので、注意してみていきたいと思っています。
価格は?
デュピクセントは高額医療制度が適用されます。適用後の費用は、一本あたり17,633円。これを2週間に一本打つことになります。(参考:巣鴨仙石皮膚科)
つまり、1ヶ月で3.5万円ほどになります。
これを高いと思うか、治るなら安いと思うかは人それぞれだと思うのですが、私は純粋に1ヶ月あたりの医療費の支出としてはかなり高いな…と思いました。ここまで医療費にかけたことがなかったので、初めての支払いの時は「うっ」となりました。ただ、一回効果を実感した後にデュピクセントなしの生活に戻ることはちょっとできませんでした。
夜眠れない辛さや、何をしても治らない肌に苦しめられることを考えると、お金で解決できる問題の中では安いような気もして、今でも支払いの度に「うっ」となりながら、現代医療の発達に感謝しています。
最後に
今デュピクセントを始めるか迷っている方は、すごく色々考えていらっしゃるかと思います。打ってどうなるのか、副作用が出たらどうしよう、高すぎるのではないか、などなど。
もちろんお医者さんと相談して決めることではあるのですが、最終的に納得して踏み切るところは、ご自身の心持ちに関わるところかと思います。私の場合は、そこに至るまでに、色々と情報を集めて、自分の経験と照らし合わせて、じっくり考える時間と覚悟がどうしても必要でした。
私の体験談が少しでもこの記事を読んでくださっている方の検討の材料になれば幸いです。
コメント